もの忘れ検診(認知症検診)について
2026.04.01
最近、認知症に関する新しい治療や研究のニュースを耳にする機会が増えてきました。高齢化が進むなかで、認知症は多くの方にとって身近なテーマになっています。こうした背景のもと、目黒区では認知症の早期発見と早期対応を目的として2024年より「もの忘れ検診(認知症検診)」を実施しています。
この検診は、区内に住民登録のある方のうち、年度末年齢で61歳、64歳、67歳、70歳、73歳、76歳、79歳の方を対象に行われています。対象となる方には受診券が送付され、区内の協力医療機関(認知症サポート医等)で簡単な問診や認知機能の検査を受けることができます。61歳という比較的若い年齢から対象となっているのは、認知機能の変化は自覚しにくい形で少しずつ始まることがあるためです。症状が目立ってからではなく、できるだけ早い段階で変化に気づくことが、その後の生活や医療につながると考えられています。
認知症という言葉を聞くと、「年齢のせいだから仕方がない」「いずれ誰でもなるもの」と思われる方もいるかもしれません。しかし現在の医学では、認知症は一つの病気ではなく、いくつかの原因によって起こる状態の総称と考えられています。代表的なものとしてアルツハイマー病がありますが、脳血管障害による血管性認知症やレビー小体病など、さまざまな原因があります。また、慢性硬膜下血腫や甲状腺の病気、薬の影響など、治療によって改善する可能性のあるものも含まれています。
そのため、「年齢による物忘れ」と自己判断せず、医療機関で一度評価を受けることが大切です。もの忘れ検診は、認知症かどうかを決めるための精密検査ではなく、「専門的な診察や検査が必要かどうか」を確認するための入り口として行われています
。検診の結果、詳しい検査が必要と判断された場合には専門医療機関での診察につながります。反対に、大きな問題が認められなければ、それだけでも安心材料になります。
最近では、認知症のごく早い段階である軽度認知障害(MCI)という状態も知られるようになりました。これは日常生活はほぼ自立しているものの、以前と比べて記憶力などに変化がみられる段階です。この段階で生活習慣の見直しや医療につながることで、その後の経過に良い影響を与える可能性があります。
さらに近年、アルツハイマー病に対しては、原因の一つと考えられている物質に作用する新しい治療薬も登場しています。例えばレカネマブと呼ばれる点滴で行う治療薬は、アルツハイマー病の進行をゆるやかにする可能性がある薬として注目されています。ただし、このような治療は病気が進んでからでは適応にならない場合もあり、できるだけ早い段階で診断されることが重要とされています。認知症医療は、「早く見つけて早く対応する」ことがこれまで以上に大切になってきています。
認知症は、本人だけでなく家族や地域社会とも深く関わる病気です。しかし、早い段階で状況を把握し、医療や介護、地域の支援につながることで、生活の質を保ちながら暮らしていくことが可能になります。
もし「最近物忘れが増えた気がする」「家族から少し心配されている」と感じることがあれば、どうぞ気軽にもの忘れ検診を受けてみてください。また、ご家族の変化が気になる場合にも、受診を勧めてみていただければと思います。
(N・Y記)




